集い

f:id:yu_suke0512:20201019143520j:plain 前回の続き。

社会人になってからは皆それぞれの道を進み、全員が揃うのはお正月やGW、お盆休みなどの大型連休になりました。

僕「みんなお疲れ!カンパーーイ!」

皆「カンパーイ!」

友人A「最近どう?」

友人B(おデブちゃん)「彼女できた(笑)」

僕「キャバ嬢は彼女って言わないよ?」

おデブちゃん「違うから(笑)」

友人A「結婚が無しになりました!」

Tさん「奇遇だな、俺も(笑)」

僕「二人とも何したの?」

友人A「甲斐性なしって言われた(笑)」

おデブちゃん「Aの彼女可愛くなかったからいいんじゃん?」

僕「確かに!Tさんは?」

Tさん「どっちのギタリストが格好良いか話してたら熱くなって喧嘩した。」

僕「いい年なんだから好きなギタリストの事で喧嘩するのやめてください(笑)」

Tさん「僕は?」

僕「最近、めっちゃ可愛い子と知り合いました。人妻ですけど。」

Tさん「お前、バカだなー(笑)」

僕「まだ、手出してないからセーフ!」

おデブちゃん「きっとアウトになるやつだよね。」

友人A「俺は、お金無いからな(笑)」

僕「何で慰謝料払う前提?」

Tさん「こいつは高校生の時から俺が仕込んだからな。」

友人A「ロクな教育じゃない(笑)」

僕「まー皆いつも通りだね(笑)夕方まで飲んだら雀荘行こうよ。」

友人A「最近、全然麻雀やってないよ。」

おデブちゃん「一週間前から雀荘通って仕上げてきた。」

僕「こないだもそんなこと言って、一番負けてたじゃん(笑)」

Tさん「僕とAは本当強くなったよな。」

Tさん「僕が高レートで打ちたいって言った時、覚えてる?」

僕「覚えてますよ。」

Tさん「あの時の心境教えてやろうか?体に肉を巻き付けた我が子をサバンナに放り出す気持ち(笑)」

皆「(笑)」

僕「そんなでした?」

Tさん「そりゃそうだろ。うちの店、打てるお客さん沢山いたし、餌食になるなって思ってたよ。」

Tさん「よく心折れなかったなって今でも思ってる(笑)打たれ強さ凄いわ。」

僕「まーそのおかげで今がありますから。」

――そんな楽しい時は10年以上続き、とある年の瀬の事。

僕「ご無沙汰してます!Tさん、年始どうします?」

Tさん「悪い、体調悪くてさ。お正月に集まるのは難しいかもしれない。」

僕「え!?大丈夫ですか?」

Tさん「酒の飲みすぎだな。」

僕「もー、好きなのは分かりますけど、本気で心配なんでちょっと気を付けてくださいよ。」

Tさん「ありがとうな、今回は俺抜きで集まってくれ。」

僕「そうですか...分かりました。じゃあ、皆には僕から連絡入れておきますね。」

Tさん「おう、悪いなまた連絡するわ。」

残念ながら、Tさんはこの後入院します。 毎年恒例だった集まりも、一時的に無くなりました。

続く

結婚

前回の続き。

ここから、少し話のスピードが上がります。 新しいお店で出会った人は多く、親友と呼べる友人も出来ました。 麻雀も良いプレイヤーが沢山いた為、レベルが飛躍的に上がりました。 具体的にどれくらい上手くなったかというと、36人参加の大会で優勝し、Aリーグプロにも勝てるくらいに、もちろん短期決戦ですので運の要素も大きいです。

楽しい毎日を過ごし、いつもの様に皆で飲んでいた時の事。

Tさん「俺、結婚するかも。」

全員「は!?」

僕「誰です?」

Tさん「今付き合ってる子、いい子なんだ。俺も年だし?」

親友A「俺も来年結婚するかも。」

僕「マジ!?」

ラッシュです。結婚ラッシュ。 結局、二人とも結婚しませんでしたけどね(笑)

それから色々な事がありました、一人暮らしをしたり、友人とルームシェアをしたり、友人がTさんの彼女を好きになっちゃたり、共同出資でお店を出したり(潰してます)。時が過ぎて僕も就職し、Tさんも自営業をやめて勤め人に。

続く

ある日の小話

f:id:yu_suke0512:20201009170854j:plain 前回の続き。

僕は、再びTさんの元でアルバイトをすることになりました。 それはもう楽しかったです。これは仕事も食事も共通ですが、何をするか?何を食べるか?より誰とするか?誰と食べるか?が大事です。 仕事が終わったら皆で居酒屋に。

Tさん「僕、来てくれてありがとな。」

僕「いやいや、呼んでもらえて嬉しかったですよ。」

Tさん「(元の)お店はどうだ?」

僕「ぼちぼちですかね。副店長は、Tさんほど金使い荒くないですから(笑)」

Tさん「まーな(笑)」

僕「変な事聞いてもいいですか?」

Tさん「なに?」

僕「お店に1人女性の定員さん居たじゃないですか?あれ、Tさんの彼女ですよね?」

――動揺してビールをこぼすTさん。

Tさん「なんでわかった(笑)」

僕「見てたらわかりますよ(笑)」

Tさん「周りのやつ誰一人気が付いてないよ?流石だな(笑)」

僕「フフン(笑)一緒に住んでるんですか?」

Tさん「いや、ホテル暮らし。」

僕「は!?」

Tさん「家に前の女の荷物があるからさ、そんなの見たくないだろ?」

僕「かっけーーーー!!彼女いくつですか?」

Tさん「俺の15アンダー。ゴルフで優勝しちゃうくらい年下(笑)」

僕「!?」

続く

再会

前回の続き。

僕は、Tさんが居なくなってからもアルバイトを続けていました。 Tさんがお店を譲ってから半年くらい経ったある日、携帯が鳴りました。 液晶画面には、Tさんの文字が。

Tさん「よう!久しぶり!元気してたか?」

僕「お久しぶりです!元気ですよ(笑)どうしたんですか?」

T「いきなりだけど、ヘルプでうちの店に来ない?」

僕「え!?また雀荘、始めたんですか?」

Tさん「実は学生街で始めたんだ。忙しくて(笑)」

僕「週末だけなら大丈夫ですよ。」

Tさん「お!ありがとうな。」

僕「今週末から行けますよ。」

T「わかった、お店の場所は後でメールしておく。」

僕「はーい、よろしくお願いします。」

この時、僕はめちゃくちゃワクワクしていました。 それにしても、本当に麻雀好きですね。

続く

ひとり立ち

前回の続き。

雀荘でアルバイトを始め、1年半が経ちました。 僕も高校を卒業し大学生に。麻雀も以前より上手くなり、仲間内では強いプレイヤーになり、他のお店に一人で遊びに行っても勝てるくらいに。 ある日、夜番をしていた時、Tさんから声を掛けられました。

Tさん「僕、ちょっといいか。」

僕「どうしました?」

Tさん「実は、副店長にお店を譲ろうと思ってるんだ。」

僕「え!?本当ですか!?」

Tさん「昔と比べるとお客さんの入りが少なくなってな、今の売上で俺が続けるのは厳しい。ごめんな。」

僕「Tさんは辞めて何をするんですか?」

Tさん「少しゆっくりしたら、また何か始めるよ。」

僕「そうですか...寂しいですけどしょうがないですね。」

Tさん「落ち着いたらまた飲みに行こうな。」

僕「はい、待ってます!」

こうしてTさんと一度お別れになります。

続く

任侠気質

f:id:yu_suke0512:20201009170854j:plain 前回の続き。

雀荘でアルバイトをして半年くらいの事、僕は安いレートでお客さんと麻雀をしていました。 勝率が少し上がってきた頃。

僕(高いレートで打ちたい...俺ならやれる!)

僕「Tさん!高いレートで麻雀がしたいです!」

Tさん「お前大丈夫か?まだまだきついと思うよ。」

僕「お願いします!」

18歳の根拠の無い自信、若さ故のバカさ。 結果、吐きそうなくらい負けました(笑) 周りは皆、麻雀が上手なお兄さんやおっちゃん達。 アガリは早いし、打点は高い、一回のゲーム時間の平均は20分~30分とかなり速い。 僕は、お客さんに粗相のないよう、ゲームに支障ないようにしているのが精一杯でした。 でも、お客さんは大喜び。雀荘に行くだけでお財布が厚くなるのだから、毎週来ますよね。

トゥルルルルルー。

僕「はい、雀荘〇〇です。」

お客さんA「お!今日もいるか!今から行くわ!」

僕「お待ちしています!」

トゥルルルルルー。

僕「はい、雀荘〇〇です。」

お客さんB「お!僕いるやん!今日も設定6だな!」

(設定6とはパチスロ機で一番出やすい設定のことです。)

僕「...」

僕のおかげで(?)お店が盛況だったある日、一番負けている日がありました。 勝負事では、何をしても勝てない日というのがあります。僕の場合はその日でした。 夜中の0時を回った頃、Tさんに呼び出され僕は、何か注意されるのかな?と少しだけ怖かったのを覚えています。

Tさん「ちょっと俺と交代しろ。」

僕「はい...」

黙々と打つTさん。僕は後ろで観察しながら接客。 交代から1時間くらい経った頃、Tさんの逆襲が始まりお客さんの顔から笑顔が消えました。 お客さんA、Bの財布が空になったのは明け方。

お客さんA「マスター邪魔するなよ(笑)」

お客さんB「やっぱり強いなー(笑)」

Tさん「僕が負け過ぎだったからな(笑)」

僕「すみません...」

Tさん「いいんだよ(笑)でも、やっぱりまだ早かったな。」

僕「もう、高レートは駄目ですか?」

Tさん「やりたかったらいいよ。その代わりA、Bが来たら俺に電話しろ。」

僕「はーーーーい!」

弱きを助け強きを挫く!勝負事なのでお客さんが横暴とは言いませんが、弱い者虐めは許さないTさん。 この日、僕はTさんの格好良さにシビれました。本気で。 ちなみに、取り戻してくれた負け分は少し戻してくれました。Tさん、ありがとございます。

続く

料理

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前回の続き。

雀荘でアルバイトすることになり、麻雀を勉強しながら今まで以上にTさんと過ごす時間が増えました。 Tさんは料理が上手でなんでも作ってくれるマスターでした。

とある日の事...

僕「お腹すきましたねー。」

Tさん「チャーハン作ってやろうか?」

僕「食べます!」

とある寒い冬の事...

Tさん「鍋しようぜ!」

僕「いいですね!」

Tさん「特製の鴨鍋作ってやるよ。」

僕「やった!」

とあるお正月の事...

Tさん「お節料理作ったから食べに来な。」

僕「行きます!」

T「数の子、5kg漬けた。」

僕「好きですね~(笑)」

僕は料理が好きです。 始めたきっかけは、Tさんから料理ができる男はモテると教えられたから。 でも今は、純粋に料理ができて良かったと思ってます。ありがとうTさん。

続く